伊川易伝爻辞
嗟凶。
八純卦はみな二体の義あり。乾は内外みな健、坤は上下みな順、震は威震相継ぎ、巽は上下順随し、坎は重険相習い、離は二明継照し、艮は内外みな止まり、兌は彼己相説ぶ。而して離の義は人事において最も大なりとなす。九三は下体の終わりに居り、これ前の明まさに尽きんとし、後の明まさに継ぐべきの時なり。人の始終、時の革易なり。ゆえに日昃(ひかたむ)くの離となす。日下りて昃くの明なり。昃けばすなわちまさに没せんとす。理を以てこれを言わば、盛んなれば必ず衰えあり、始めあれば必ず終りあるは常道なり。達者は理に順いて楽しみとなす。缶は常用を器なり。缶を鼓して歌い、その常を楽しむなり。かくのごとくすること能わざれば、すなわち大耋(たいてつ)を以て嗟き憂えて乃ち凶となす。大耋は傾没なり。人の終尽するや、達者はすなわちその常理を知りて天を楽しみて已む。常に遇えばみな楽しむこと、缶を鼓して歌うがごとし。達せざる者は恐怛してまさに尽きんとするの悲しみあり、乃ち大耋の嗟ありてその凶たるなり。これ死生に処するの道である。耋は昳と同じ。