伊川易伝爻辞
六三は陰柔不中正の質を以て、険の極に処りて剛を用う。陽に居り剛を用うるなり。困に処るに善からざることの甚だしき者なり。石は堅重にして勝つに難き物、蒺藜は刺ありて拠るべからざる物なり。三は剛険を以て上進すれども、則ち二陽上に在りて力は勝つ能わず、堅くして犯すべからず、益々自ら困しむのみ。石に困しむなり。不善の徳を以て九二剛中の上に居るは、その安からざること猶お刺を藉き蒺藜に拠るがごとし。進退既に皆益々困しみ、その所に安んぜんと欲すれども益々能わず。宮はその居りて安んずる所なり。妻は安んずる所の主ななり。進退の不可なるを知りてその居に安んぜんと欲すれども、則ちその安んずる所を失う。進退と処ると皆不可にして、唯だ死あるのみ。その凶知るべし。繋辞に曰く「困しむ所に非ずして困しむ、名必ず辱めらる。拠る所に非ずして拠る、身必ず危うし。既に辱められ且つ危うく、死期将に至らんとす、妻それ見るを得べけんや」と。二陽犯すべからざるに、これを犯して以て困を取るは、これ困しむ所に非ずして困しむなり。名辱められその事悪しきなり。三は二の上に在りて固よりこれに拠ると為すも、然れども苟も能く謙柔にしてこれに下らば則ち害なからん。乃ち剛険を用いてこれに乗ずれば、則ち安からずして困を取ること蒺藜に拠るがごとし。かくの如くなれば死それ将に至らんとす、安んずる所の主見るを得べけんや。